2019年4月8日、沖縄のジュゴン保護に取り組む「北限のジュゴン調査チーム・ザン」と「ジュゴンネットワーク沖縄」が呼びかける緊急要請に、JELFも賛同しました。
この要請は院内集会で報告され、環境省、防衛省にも提出され、保護をもとめる交渉がおこなわれました。
緊急声明
「沖縄のジュゴンは絶滅の淵・沖縄個体群は存亡の危機!」
- 沖縄沿岸海域で確認されていたジュゴン3頭のうち1頭が死亡、2頭が行方不明!
- 沖縄防衛局はただちにジュゴンを追い出した辺野古新基地建設工事を中止せよ!
- 環境省はただちにジュゴンの全島調査に着手せよ!
- 環境省は実効性のあるジュゴン保護対策に着手せよ!
北限のジュゴン調査チーム・ザン、ジュゴンネットワーク沖縄
2019年4月9日
私たちは過去20年間、沖縄の海に生息する「北限のジュゴン」の生息環境調査を行って来ました。沖縄のジュゴンは野生であるが故に何頭生息しているかは定かではありませんが、沖縄防衛局によるアセス調査においては3頭のジュゴンの生息が沖縄島沿岸に確認されていました。
その中でも西海岸に生息し、子供のジュゴンと度々確認されていた個体Bは、3月18日に今帰仁村運天漁港沖にて死体で発見され、沖縄県民は大きなショックを受けています。
また、個体Bの子供である個体Cは大浦湾内で度々確認され、その大浦湾では沖縄防衛局の調査で49本、私たち市民グループの調査で238本(累計)のジュゴンの食み跡が確認されていました。沖縄防衛局はアセス評価書の中で、これらの食み跡について「個体Cによるものと考えられます」と個体Cが大浦湾を餌場として利用していたことを認めていたにもかかわらず、個体Cの重要な餌場の存在を無視するように護岸工事に着手し、その結果、2014年以降個体Cは大浦湾に姿を見せなくなり、2015年から行方不明となりました。
さらに、名護市東海岸の辺野古周辺沿岸海域に定着していた個体Aは、私たち市民調査グループも毎年餌場の食み跡を記録し、メディアによる映像にも度々撮影され、その健在ぶりを確認することが出来ましたが、昨年秋以後、姿もまた餌場に食み跡も確認することができなくなり、個体Cと同じように辺野古新基地建設工事着手後に行方不明となりました。
沖縄防衛局による環境アセスメントの環境保全図書では「工事の実施後は、ジュゴンの生息範囲に変化が見られないか監視し、変化が見られた場合は工事との関連性を検討し、工事による影響と判断された場合は速やかに施工方法の見直し等を行なうなどの対策を講じます」と記載されています。沖縄防衛局は個体A及び個体Cが確認されなくなった要因について工事の影響はないとしていますが、上記の2頭の行方不明という事実と工事着手の時期とを照らし合わせれば工事の影響は明らかであることから、沖縄防衛局は速やかに工事を中止することを強く要求します。
また、我が国の生物多様性の保全を責務とする環境省は、日本産ジュゴンの存続の危機や、生息地としての嘉陽海域の重要性を認識していたにもかかわらず、日本で唯一のジュゴンの生息地を保護するための知見を、新基地建設を目的とした沖縄防衛局の環境アセスに依拠し、日米政府間の軍事同盟=安保条約に忖度してジュゴンを国内希少野生動植物種に指定せず、開発行為からジュゴン及び生息地を守る手立てを行わないまま現在に至りました。
その結果として、定着性の強い個体Aが生息地を追い出され、さらには、確認されていた唯一の雌個体Bを失うという取り返しのつかない事態を招いたことは、環境省に重大な責任があります。環境省は、この沖縄ジュゴン個体群の存亡に関わる事態の責任を認識するとともに、琉球諸島各地で得られているジュゴンの未確認情報を精査し、早急に沖縄ジュゴンの全島調査を実施するとともに、実効性のある保護対策に着手するよう要請します。
私たち、沖縄のジュゴン保護グループは、我が国の生物多様性の観点からも沖縄に唯一存在するジュゴンの存在は欠かせないと考え、以上の緊急要請への賛同を呼びかけます。
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★ジュゴンを守る緊急院内集会と政府交渉のご案内(4/16)はこちらです。
https://www.nacsj.or.jp/2019/04/15271/
★院内集会の報告は、ジュゴンネットワーク沖縄の細川太郎さんのブログにも詳細が記されています。
http://nagonoshizen.blog.fc2.com/blog-entry-199.html?fbclid=IwAR0Ru0AQlLUk3AP-Uh2zoKlmrQi3gNaqGzkuz3Xx3HTb1dFUvYEpEDRa9mY