Mail Magazine for L.S. students issued by JELF
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■□■ ECO Tama ■□■ 9号        2006.10〜11月
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*JELF は、法的手段によって環境保護運動を進める、全国約500名 の弁護
 士によって構成されている環境保護団体です。
 ECO Tama=「エコ たま」とは、エコロジー・ロイヤーのたまごたちという
 意味。環境問題に対する関心を共通項として集まった仲間の情報交流メルマ
 ガです。 ECO Tamaは、ロースクール生の皆さんに有用な情報を提供するため
 JELFから無料でお届けします。

*ECO Tama は、隔月間でお届けします。

*ECO Tamaの購読申し込み、JELFへの連絡・お問い合わせは
jelf-osaka@green-justice.com
までお願いします。

*ECO Tama のバックナンバーは、JELFのホームページにてご覧いただけます。
 URL: http://www.jelf-justice.org

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□■□ CONTENTS □■□

□ 日本環境法律家連盟ロースクール会員並びにエコタマ購読者のみなさま

□ ECO Tama 環境法セミナー
  新司法試験から見た今後の環境法の学習方法について

□ 新司法試験 環境法を受験して

□ ECO Tamaリクルート・ナビ

□ JELF からのお知らせ

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□■□日本環境法律家連盟ロースクール会員
   並びにエコタマ購読者のみなさま □■□

 このたび新司法試験の発表がありました。合格された皆さんおめでとうございます。
また、惜しくも今期を逃された皆さん。私どもはみなさまの奮起を期待しております。
日本環境法律家連盟では環境問題に関心ある方々が全て司法試験に合格されますよう
応援を続ける所存です。
 新合格者の皆さんには、環境法律家連盟修習生会員への登録をお願いいたします。
修習生会員には全国各地で修習生向けの環境事件の紹介企画、環境派弁護士との交流、
法律事務所への就職情報の提供などを行っています。また、海外視察を希望される会員
には現地法律家、運動団体との連絡などの援助、交通費の一部援助などを行っています。
そのほか、「環境と正義」配布などをいたします。
(詳細は下記までお問い合わせください)
 引き続き、司法試験に挑戦される皆さんは、引き続きロースクール生会員または
ECO Tama購読会員として(新たに会費を払う必要はありません)、従来通りのサービス
を受けていただけます。
 無料メールマガジン、ECO Tama により新司法試験環境法関連情報・就職関連情報も
お届け致します。
 お手数ですが、登録いただいておりますごメールアドレス等に変更がございましたら、
下記宛御連絡くださいますようお願いします。

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□■□ECO Tama 環境法セミナー 
   新司法試験から見た今後の環境法の学習方法について □■□

                   弁護士・関西学院大学教授 池田 直樹

1 新司法試験の環境法については、私が解説を書いているので、法学セミナーの
 新司法試験特集号を是非参照してもらいたい。

2 環境法選択者には、おそらく2種類の人がいるのではないか。
 まずは純粋に環境法に興味ないし情熱を感じる人。大学時代あるいは社会人として、
 環境にかかわる勉強や実務に携わり、法曹になっても環境法に関与していきたいと
 いう人である(A型)。
  もう1種類の人は、環境法が「不法行為の特別法」であり、「行政法の特別法」
 であるとの認識から、民法や行政法の復習を兼ねることができるとともに、新科目
 として、比較的易しい問題が出るのではないか、という期待を持つ人である(B型)。

3 A型の人への注意点
 自己批判を込めて言えば、一部の学校を除き、大部分のロースクールの環境法には
 少し落胆するかもしれない。新司法試験科目となり、対象となる法が決まったことで、
 より法的論点を意識した授業構成になる可能性が高いからである。環境倫理などの
 バックグランドや公害法の歴史といった基礎的知識や国際環境法といった発展的課題
 よりも、国内個別法の知識に重点が置かれることになる。
 とはいえ、環境負荷の低減と持続可能な発展、生物多様性の維持といった哲学は、各法
 の背骨となっている。できれば現実の環境紛争に積極的に興味関心を持ち続け、クリニ
 ックや環境法律家連盟の企画などで、事件との接点を維持しながら、試験は試験、と有
 る程度の割り切りを持って勉強に励んで欲しいと思う。

4 B型の人への注意点
 環境法が環境民事法、環境行政法(一部環境刑法)という性質を持つことは間違いな
 いが、環境法の独自領域について、早めに理解をして欲しい。それは環境政策という
 視点である。
 環境法においては、ある問題に対する解決策としての制度設計という構図が相当程度
 明確である。その際に、考えられる制度設計としていくつかの選択肢がある。環境を守る
 ために、規制的手段(ある行為を禁止し、罰則を課す)を取るのか、それとも経済的手段
(ある行為を行えば経済的に損をし(課税)、別の行為を行えば経済的にメリットを受ける
(助成など) )を取るのか、といった政策立案者としての「選択肢」の理解と、その選択
 の背後にある「法理念」(正当化根拠)の理解である。
 環境法をそのような角度から見ることなしに、民法や行政法の発展形式として学習を続け
 ると、どうしても論点の法解釈論の勉強に精力を割くことになるが、それでは新司法試験
 の問題には対処できない。

5 環境法の学習法(共通)

(1)環境法の学習法のガイダンスになる良い本として、北村喜宣「プレップ環境法」
 (弘文堂)を推薦する。薄い本であり、事例をもとに平易に面白く書いてあるので、2時間
  ほどで読了できる。既に環境法をかなり学習している人にとっても、目からウロコという
  部分があると思う。

(2)教科書としては、私は大塚直「環境法」を使ってきたが、ボリュームが多く、記述も学生
  にとっては難解かもしれない。淡路・阿部「環境法」や最近出た松村・柳他「ロースクール
  環境法」でもいいと思う。特に後者は、新司法試験を意識した「割り切り」があり、章末に
  問題も記載されている点で、学習しやすいように工夫されている。ただ、個別法の記載内容
  については一部物足りない気がする。いずれにせよ、授業で指定された教科書を中心に学習
  すれば足り、教科書を増やすよりは、一つの教科書を2度、3度(それ以上は無理)読み込
  むことが重要である。

(3)参考書がこの間充実してきた。日弁連「ケースメソッド環境法」(日本評論社)と大塚・
  北村ら「ケースブック環境法」(有斐閣)があるが、司法試験対策としては、後者は必携で
  ある。
  また、環境法判例百選(有斐閣)も当然に参照されるべきである。

(4)私が考えるモデル学習法としては、
  @「プレップ環境法」で環境法の学習法のイメージを掴み、
  A授業で指定された教科書を予習して百選を参照しながら授業を受けて、試験前に両者の
  復習をする、
  B演習ないし自主ゼミで「ケースブック環境法」を題材に議論する、
  C新司法試験前に、本番の時間通りに、模擬問題(プレテスト、サンプル、学校の試験問題
  を含む過去問や指導の先生等の協力を得て新問題)の起案練習を数回行う、
  というものである。
  同時に、試験の後には、大自然の中ではねを伸ばす企画もJELFあたりで考えてもらいたい
  と思う。
  現場こそ、最高の教師だからである。

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□■□新司法試験 環境法を受験して □■□

        名古屋大学法科大学院卒・新60期修習予定者
                             小島 智史

 新司法試験の環境法の問題は、以前に受けたプレテストの問題と比べて、
書くべき内容の方向性はつかみやすかったと思った。というのも、プレテスト
では参照条文が長く、しかも内容が細かかったため、参照条文をどの程度使え
ばよいかわからず相当迷わされたが、新司法試験の問題は、参照条文の内容が
絞られており、そこで迷わされることがなかったからである。また、問題文自
体が論ずべき事柄についてヒントを与えるような内容だったことも、方向性が
つかみやすく思えた一因だったと思う。
 ただ、実際答案を書こうとしたとき、書くべき内容の配分についてとても悩
まされた。例えば1問目のほうでは、現在の廃掃法の規定について、あまり書
きすぎると単に条文の羅列になってしまうため、どの程度触れるべきか悩んだ。
また2問目のほうでは、事案の内容から、自然の権利や景観権に関する訴訟が
思い浮かんだものの、それらだけをストレートに書けばいいのか、もっと他に
争う手段も考えるべきなのか、また、関連する訴訟についてどの程度触れるべ
きか、といったことについて悩まされた。
 以上のように色々と悩まされた試験ではあったが、環境権や排出事業者責任
といった理念的な問題から、特徴的な制度の概要と制度の作られた背景、訴訟
上の問題、それに法政策といった様々な事柄をバランスよく組み合わせた問題
だったという点で、環境法の第一回の問題としてはふさわしい問題だったので
はないかと思った。自分がそれに対して十分な解答ができたかはわからないけ
れど…。
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□■□ECO Tamaリクルート・ナビ
              〜あすなろ法律事務所 事務所説明会 □■□


 あすなろ法律事務所(大阪市中央区)は、環境問題を始め各種公益的活動に
力を入れており、一般市民・中小企業を主な依頼者としています。
 来期より司法修習に入られる新60期修習予定者を対象に、下記日程にて
事務所説明会を開催いたしますので、参加ご希望の方は、
HP( http://www.asunaro-l.gr.jp/ )のフォームにご記入・送信の上お申し込み
下さい。

1.開催日 第1回 10月25日(水) 17時〜
      第2回 11月7日 (火) 17時〜
      質疑応答を含め1時間30分程度

2.場所  大阪市中央区淡路町3丁目3−10チクマビル3F
      あすなろ法律事務所

3.本企画についての詳細は、上記URLにてご確認下さい。また申し込み・問い
  合わせは、直接あすなろ法律事務所の方にお願いいたします。


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□■□JELFからのお知らせ□■□

1. 今期合格されたみなさんのご連絡をお待ちしています。日本環境法律家連盟では
 修習生向けのJELFガイダンスを予定しています。
 氏名、Eメールアドレス、住所、電話番号、出身法科大学院などをお知らせください。

2. 是非とも、JELF修習生会員にご参加ください。修習生会員は入会金2000円のみで、
 修習終了まで会費を支払う必要はありません。
 既にロースクール会員の皆さんは、申し込みいただければ、引き続き修習生会員に
 なれます。
 この場合には入会金は必要ありません。

3. このメールをお知り合いの合格者に転送して頂くようお願いします。

□新60期 環境法律家連盟(JELF)合格者祝賀会
 環境法律家連盟では、下記のように新61期の皆さん向けに合格祝賀会を行います。
 ぜひご参加ください。当日は環境問題に関わっている弁護士が参加して、皆様に実務
 についてもお話しさせて頂きたいと思います。

 日時;10月25日(水)18時〜
 場所;日比谷松本楼 (TEL;3503−1451)
http://www.matsumotoro.co.jp
 会場が変更になる可能性がありますので、参加希望の方は、必ずJELF事務局に
 ご連絡下さい。

  日本環境法律家連盟(JELF)事務局 (名古屋E&J法律事務所内)
  T:052-528-1562  F:052-528-1561  E-mail: jelf@green-justice.com

□修習生対象環境法勉強会(予定)

  日時;12月9日(土)11時〜
  場所;四谷(会場未定)
  詳細は追ってお知らせいたします。


□ ECO Tamaは、ロースクール学生の皆さんとの双方向マガジンを
  目指しています。ぜひ、ご意見ご感想、実務家への質問等、また、
  自主ゼミ・勉強会等の案内等お知らせ下さい。
jelf-osaka@green-justice.com


□ 購読者募集中!お友達にもECO Tama をご紹介下さい!
  購読の申し込みは、
jelf-osaka@green-justice.com
  まで、お名前、学校名、学年をお知らせ下さい。
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