Mail Magazine for L.S. students issued by JELF
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■□■ ECO Tama ■□■ 11号   2007. 6月〜2007.9 月
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*JELF は、法的手段によって環境保護運動を進める、全国約500名 の弁護
 士によって構成されている環境保護団体です。
 ECO Tama=「エコ たま」とは、エコロジー・ロイヤーのたまごたちという
 意味。環境問題に対する関心を共通項として集まった仲間の情報交流メルマ
 ガです。 ECO Tamaは、ロースクール生の皆さんに有用な情報を提供するため
 JELFから無料でお届けします。

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□■□ CONTENTS □■□

□ 京都市市原野ごみ焼却場談合追求住民訴訟/川崎重工の上告棄却
  弁護士 飯田 昭(京都弁護士会)

□ 必読!「司法試験受験のための勉強の割き方」
  愛知大学法科大学院教授 榎本 修

□ 修習生・LS生対象 JELF 環境サマーセミナーのご案内

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□■□京都市市原野ごみ焼却場談合追求住民訴訟
    − 川崎重工の上告棄却 □■□

                   弁護士 飯田 昭(京都弁護士会)


〔事件報告〕
平成19年4月24日、最高裁第3小法廷から次の通りの決定を受けました。
決定自体は形式的なものです。
参考資料として大阪高裁判決(2006年9月14日)
「18(行ツ)322号、18(行ヒ)375号
上告人川崎重工業/被上告人川口力他773名
公金支出差止等請求事件

主文
@本件、上告を棄却する。

A本件、上告を受理しない。

B申立費用は、上告人兼申立人の負担とする。」

【最高裁判決についてのコメント】
一連のごみ焼却場談合追求住民訴訟(全国11地裁13件)では、初の最高裁判
決で、談合による損害認定額としては、ごみ焼却場談合事件はもとより、高裁レ
ベルでは談合事件全体について最高割合(8%)を認定した高裁判決を維持した
もので、談合根絶へ向けた司法の厳格な姿勢を示したものと評価できます。


【新聞記事】
・京都新聞 2007年4月25日朝刊
川崎重工に18億円の返還命令確定 京都市のごみ焼却場談合で最高裁

京都市発注の市東北部クリーンセンター工事入札の談合疑惑で、地元住民が建設
を受注した川崎重工業(神戸市中央区)に約57億円を市に返還するよう求めて
いた訴訟で、最高裁第三小法廷(那須弘平裁判長)は24日、同社の上告を退け
る決定をした。同社に約18億3000万円の返還を命じた大阪高裁判決が確定
した。原告側弁護団によると、ごみ焼却場談合をめぐる住民訴訟は京都など全国
11地裁に13件提訴されたが、判決が確定するのは初めて。

同社は「当社の主張が認められず誠に遺憾ですが、判決に従い支払いを致します」
とコメントを発表した。地元住民約800人でつくる「市原野ごみ裁判をすすめ
る会」の野村政勝事務局長(66)は「市民が大企業に勝った。住民運動のなかで画
期的な判断で、全国で闘っている住民訴訟の勝利にもつながる。返還金は環境保
全に活用してほしい」と話した。

遅延損害金も含めた約23億8000万円の損害賠償を同社に請求している京都
市は「速やかな支払いを求め、適切に対応したい」とコメントしている。 同訴訟
は、2005年8月に京都地裁が「談合により不当に落札額がつり上げられた」
として、受注額の5%に当たる11億4000万円の支払いを命じた。
大阪高裁は06年9月に、損害金を受注額の8%と認定し、約18億3000万
円に引き上げた。


・毎日新聞 2007年4月25日朝刊
談合:京都市のごみ焼却場建設巡り企業の上告棄却

京都市発注のごみ焼却場建設工事で談合して市に損害を与えたとして、市民774
人が工事を受注した川崎重工業(神戸市)に対し、市に約57億円を賠償するよう
求めた住民訴訟で、最高裁第3小法廷(那須弘平裁判長)は24日、同社の上告を
棄却する決定を出した。談合があったと認定し18億3120万円の賠償を命じた
大阪高裁判決(06年9月)が確定した。

1、2審判決によると、同社を含む大手プラントメーカー5社の間で95年9月ま
でに談合が成立。同社は96年11月に行われた一般競争入札で工事を落札し、2
28億9000万円で市と契約した。京都地裁は05年8月「落札率は97・82
%と著しく高く、落札価格が不当につり上げられた」と認定、損害額を契約金額の
5%として11億4450万円の賠償を命じた。

これに対し、高裁は独占禁止法違反事件の9割で売上額の8%以上の不当利得が存
在するとの公正取引委員会の推計に基づき損害額を8%と算定、賠償額を増額した。

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□■□必読! 「司法試験受験のための勉強の割き方」 □■□

                     愛知大学法科大学院教授 榎本 修

全国各地の法科大学院実務家教員の中には少なくない数で環境法律家連盟の弁護士が
います。今回、合格率上位を占めた愛知大学実務家教員榎本修先生に司法試験のため
の勉強時間の割き方というテーマで投稿をお願いしました。これは、愛知大学法科大
学院の学生の質問に対して、実際に先生がお答えになった内容です。

勉強の時間の割き方について(私案)


愛知大学法科大学院生の皆さんへ

榎本です。1Lの方から以下のような質問をいただきました。
(1)他の院生の皆さんにも参考にもなるかもしれないので、ご本人の了解を得て転送
させていただきます(多少加筆しました)。
(2)(教員・チュータの先生方へ)榎本の独りよがりな意見かもしれません。もし宜
しければ様々な御批判・御指導を賜りますと幸いです。

Q.勉強のやり方(主に復習)についてアドバイスをください。

「限られた時間の中で,今,最低限何をしたらいいのか。」ということです。今の状況
ですと,1コマの授業に費やせる復習時間は多くても3時間くらいだと思います。そして、
3時間だとすると,今の私の能力ですと、
1.教科書等をひととおり読み直す
2.授業を思い出しながらケースシートをひととおり復習する
3.争点整理案(Aランク)の答案を書く(授業の一部分を重点的に復習)
4.短答問題を解いてみる(知識が定着しているかのチェック)をこなすことは到底不
可能です。

その場合,何を削って何を重点的にやったらいいのでしょうか。2,3が大切なのかな?
という気がするのですが,もしその2つを両立して行う時間と能力が無い場合,現時点
ではどちらを重視したらよいでしょうか。

A.私の意見は以下のとおりです。

第1 総論
1 「やらなければならない」と思っている勉強に対して時間がない場合に、考えられ
る対処法としては、
(1)勉強の時間量(総量)を増やす
(2)勉強の対象を絞る
(3)勉強の方法を合理化するという3つしかないと思います。

2 このうち、3については、非常に大切なことです。
これは、法曹になってからでも大変大切なことです。皆さんにとって「勉強」は「仕事」
だと思いますが、法曹になっても、同じ内容の訴状を起案する(←これが「仕事」です)
のに3時間かかる人と1時間で書ける人では圧倒的に後者が高く評価されると思います
(もちろん、内容は同じであることが前提です。早くかけても内容がまったくないなら、
3時間かかってキチンと書く人の方が百万倍高い評価〔というか、内容がダメなら法曹失
格です〕だと思います。)時間を有効に活用し、合理的に仕事を速くこなすこと(もちろ
ん内容は充実したものであること)に私は大変興味があります。様々なノウハウ本や雑誌
の記事、ブログの記載をいつも集めています。これは法曹になって突然できるようになる
わけではないと思います。私の場合、学生のうちから考えていたことや試していたことの
延長線上に今の仕事のやり方があります。

3 しかし、今回のご質問に対する答えとしては、(3)は中心的内容ではないので、上
記(1)(2)に絞ってお話したいと思い ます。

第2 各論
1(1)勉強の時間量(総量)を確保すること
みなさんは、毎日何時間くらい勉強しておられるのでしょうか。個人差がありますし、あ
まり長くやるとかえって能率が下がるという方もいると思います。私は、私の個人的経験
からしか言えませんので、回答に代えて私の受験生時代のお話をします。

私の司法試験受験時代は、「朝9時〜夜9時まで開いている大学の図書館に基本的に開館
から閉館までいて、ずっと勉強する」というのを基本的な勉強時間としていました(食事
の時間も本を持って行ったり、歩きながら法律用語の定義等を暗誦したりしていますから、
基本的にはほとんどぶっ通しです)。

よって、大体は10時間〜12時間くらいが基本です。そのうち、3時間予備校に通った
り、90分大学の授業に出たりというようなことはありましたが、それ以外はほとんど自
習です。日曜日は図書館が閉まるので予備校の自習室で同じくらいやります。2週間に1
回くらい、大体「バースト」してしまいますので、友達と飲みに行ったり彼女(今の家内
です)と映画を見に行ったりはしていましたが、そのほかはずーっと毎日毎日、夏休みも
冬休みも、盆も正月もこんな感じでした。私は、家で勉強できないタイプだったので、う
ちではテープを聴くことはしても、物を書いたりはあまりしませんでしたが、それ以外の
時間に集中してやっていました。最初は家庭教師のバイトをしていたのですが、そんな甘
いもんじゃないと考えてそれも辞めました。経済的には親に甘えて親孝行は合格してから
することにしました(その後もあまりできてはいないのですが)。

皆さんそれぞれだと思いますし、時間的にもっと勉強している人もあるかと思いますが、
みなさんはどれくらい勉強に時間をかけているのでしょうか。その総量が少なければ、時
間が足りなくなってしまうのはやむを得ないことになってしまうと思います。できる限り
(取りあえず大切な人との人間関係を最低限維持できるだけの時間以外は全て勉強にあて
る)勉強にあてないと、後で後悔するだろうと私は思っていました。一生それをやれと言
われているわけではないのです。とにかく合格するまでは、と思っていました。

2(2)勉強の対象を絞ること
この絞り方については、先生方や合格者によっても意見が違うかもしれませんが、私なら
3.の「答案を書く」を中心にし、もし時間があれば、4.の「短答の問題を解く」を次
にやると思います。私の経験では「教科書」でも「他人の書いたレジュメ(今回の質問で
言えば「争点整理案」)」でも、ただ「読んでいるだけ」では、頭に残ることはほとんど
ありませんでした。

書いてみて初めて「ああ自分は分かっていないな」ということが分かりました。そこで初
めて(自分で文書を書くように悩んでみて初めて)、他人の書いた教科書や判例を読み返
すと「輝いて」見えてきました。それで何とか「自分なりの表現でまとめてみよう」と何
度も何度も書き直して頑張って文章を書いていました。私の個人的経験では、結果的には
これが一番実力が付いたと思います。

なお、短答はある程度何度も何度も練習が必要ですし、ある程度は定義など暗記しないと
いけないものもあります。ですから、仮に私が愛知大学法科大学院生の1Lで今、榎本の
授業を受けているならこんな復習の仕方をすると思います。

1)授業前は時間を区切って(シラバスに書かれた制限時間内で)できるだけ教科書を読
む。
○全部は理解できなくて当たり前だから、別に分からなくてもガッカリしない。

2)授業中は、ケースシートに書かれていることはどういう意味か全て分かるように頑張
って授業を聞く。
○分からないところについては、印をつけてその点だけ、後に自分で教科書や他の基本書
などを自分で調べたり、院生同士で議論してみたり、メールやオフィスアワーを使って聞
いて、また自分の頭で考える。→その場合、考えた結果を自分の言葉で残しておくことが
ポイント。(答えの説明が足らなかったりするように感じられる場合には、自分の言葉で
付け足したりすることも大切)

3)その後、Aの論点について、自分で文章にまとめていく。何度も何度も書き直して良
い文章にしてゆく。先輩や先生にも(迷惑にならない程度に)見てもらう。

4)学期末の試験に向けては、以下の作業を(苦しいが)頑張る(繰り返す)。
ア ケースシートの全ての問い(無理ならAとD.次はB) について、右側を隠して答えられ
るようにする。
イ 争点整理案Aの争点については、自分で作った(←ここがポイント。他人の作ったもの
は覚えにくいし、自分の頭で考えなくなるなど弊害が多い。)文章を覚えるとすると、私な
ら、今の作業の中心は、上記の3)(ご質問の中では3:答案を書く)ということに置くと
思います。

以上です。参考になりましたでしょうか。



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□■□ 修習生・LS生対象
       環境サマーセミナーのご案内□■□

                   (JELF・公害弁連・ゴミ弁連 共催)    

来る6月23日(土)東京都・下北沢において、修習生および弁護士の方々を対象にサマーセ
ミナーを開催致します。
JELF(日本環境法律家連盟)・公害弁連・ゴミ弁連と共同で、今年で8回目を迎えるこのサ
マーセミナーは、環境訴訟を手がける第一線の弁護士を講師に迎え、また、あわせて環境紛
争の現場を視察するという、充実した内容と起案疲れをいやすスタディツアーで、例年、好
評を頂いています。

今年は下北沢のまちづくりにとりくむ住民の皆さまのご案内により、都市計画予定地を含む
下北沢の街を歩き、その後、紛争現場での訴訟を手がける第一線の弁護士からのレクチャー
を頂きます。

個性的な街、下北沢を観光とはちょっと違った視点で視察いたします。環境問題の現場を体
験できるまたとないこの機会、皆様のご参加をお待ち申し上げております。

参加いただける方は、6月20日までにMail、TEL、FAX、いずれかの方法で事務局までご連絡下
さい。確定でなくても「参加してみたいな」と思われる方はぜひご一報下さい。参加のご返
事をいただいた方に、あらためて詳しい内容や事務連絡等を致します。

皆様の参加をお待ちしております。質問ご意見などございましたらお気軽に事務局までお問
い合わせ下さい。

== 概要 ===========================
場所:東京都 下北沢 
期間:6月23日(土)
○第1部 街歩き 13:00-14:00
 地図を見ながら、都市計画予定地を含む下北沢の街の特徴を見る。
○第2部 レクチャーと意見交換(茶話会を含む) 14:00-16:00
 会場「korko」  http://www.suntory.co.jp/gourmet/shop/0354545919/
 (講師・案内:弁護士 石本伸晃 先生)

集合:13:00 下北沢駅北口(階段を降りたところのスペース)
服装:土曜のシモキタなので、カジュアルな服装で来ていただければ・・・・^^

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2007年 サマーセミナー講師紹介

弁護士 石本伸晃
東京弁護士会所属 日本法曹養成対策室嘱託(非常勤) 
2002年修習終了後、 川田悦子衆議院議員の政策担当秘書
(〜2003年11月)
下北沢に事務所をかまえ、「まもれシモキタ!行政訴訟」の
弁護団事務局長をつとめる。

連絡先 JELF 大阪事務所(担当:池田) 
  〒541-0047  大阪市中央区淡路町3-3-10
    チクマビル3階 あすなろ法律事務所内
Mail: jelf-osaka@green-justice.com
TEL:06-6231-1108 FAX:06-6208-2123



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  目指しています。ぜひ、ご意見ご感想、実務家への質問等、また、
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