Mail Magazine for L.S. students issued by JELF
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■□■ ECO Tama ■□■ 18号   
2008.7月〜2009.9月
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*JELF は、法的手段によって環境保護運動を進める、全国約500名 の弁護
  士によって構成されている環境保護団体です。
  ECO Tama=「エコ たま」とは、エコロジー・ロイヤーのたまごたちという
  意味。環境問題に対する関心を共通項として集まった仲間の情報交流メルマ
  ガです。 ECO Tamaは、ロースクール生の皆さんに有用な情報を提供するため
  JELFから無料でお届けします。

*ECO Tama は、3ヶ月ごとにお届けします。

*ECO Tamaの購読申し込み、JELFへの連絡・お問い合わせは
jelf-osaka@green-justice.com
までお願いします。

*ECO Tama のバックナンバーは、JELFのホームページにてご覧いただけます。
  URL: http://www.jelf-justice.org
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□■□ CONTENTS □■□

□ 完成直前のマンションに高裁が確認取消判決

□ 新司法試験 環境法を受験して

□ 沖縄視察(修習生企画)の感想

□ JELFからのお知らせ
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□■□ 完成直前のマンションに高裁が確認取消判決 □■□
              弁護士 川上英一(横浜弁護士会)

 
□H21年1月14日東京高裁は、タヌキも住む東京都新宿区の住宅跡地へのマンション
建設に反対する周辺住民が起こした行政訴訟で、住民側の請求を認めて新宿区の
建築確認を取り消す逆転判決を言い渡した。マンションは、判決時には、9割がた
完成しており、このように工事が進んだ建物の建築確認を取り消す判決は珍しい。
 

▼1.本件建築敷地(約2000u)は、住民が「タヌキの森」と呼ぶ屋敷跡で、
東京都新宿区下落合の2つの野鳥公園に挟まれた高台にある。樹齢200年のケヤキ
等が茂り、地上から5m崖下にはタヌキ2匹も住む。住民は、区に買い取ってもらって、
一体の公園にするよう求めて。「下落合みどりのトラスト基金」を立ち上げて、
土地代の一部として2億1千万円の寄付を集めた。
  そこに、一部上場のマンション業者が地上3階地下1階、3棟。30戸の集合住宅
(マンション)の工事を始めた。住民らはその工事の中止を求めて、平成17年1月
に新宿区建築審査会に審査請求を出し(建築基準法94条)、以来、ねばり強く
行政訴訟を繰り返し、ついに、4年後の今年1月に東京高裁から建築確認取消判決
と工事執行停止の決定を得た。
現在、新宿区が上告中。

▼サンプル頁へのアクセス
http://www.jelf-justice.org/school/contents/documents/20090525city-victory.pdf

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□■□ 新司法試験 環境法を受験して □■□

    駿河台大学法科大学院卒    山本一之進

☆受験前の勉強☆
  新司法試験の受験は2回目でしたので、整理したノートやJELFからいただいた
環境法の論点表を見返すことが今年の勉強の中心でした。ただ、読むだけの勉強はつ
まらないので、法学検定2級の択一問題を解いたり、「実務 環境法講義」を使って
実務的な感覚で問題をとらえるとどうなるかを考えたりしていました。
  直前期は、基本科目にかなり時間を割いていたので、環境法にかける時間は寝る前
の1時間くらいでした。
  時間がないため、ヤマを張っていました。今更、そのヤマを公表するのは恥ずかし
いですが、地球温暖化とリサイクルを本命とし、押さえで去年法文変更となった自然
公園法に張っていました。
  結果的に本命は外しましたが、自然公園は多少出題されたので良かったです。
  ヤマに関してやっていたことは、まとめの作成と「自然保護法講義」(畠山武道著)
の自然公園法部分を読むことでした。

☆受験して☆
  試験問題の第一問目を最初に見た瞬間の感想は、「また、大気汚染か・・」でした。
  しかし、問題を読み進むにつれ、排出抑制手法の選択に関する背景・理念を問うてい
る問題であることがわかりました。第一問目は、大気汚染物質およびCO2の排出抑制
手法を題材として、環境法における原則を問う良い問題であったと思います。
  もっとも、設問1で「対応の仕方を比較」し、「それぞれの考え方を説明」し、「相
違について論ぜよ」ということで、後の設問2と併せて考えると分量が多くコンパクト
にまとめるのに苦労しました。
  受験前に3枚+数行でおさめようとシミュレーションしていましたが、4枚目残り3
行くらいまで書きました。
  このようなことは他の科目ではないので、比較的時間に余裕がある選択科目ならでは
かと思います。
  設問2では、経済的措置とその具体的手法が問われました。手法については、いつ問
われてもおかしくない分野でしたので、受験生のほとんどは書きやすい問題であったと思
います。

  第二問目を最初に見た瞬間の感想は、「ヤマがあたった!」でした。ここで飛びついて
はいけないと自戒しつつ、問題を読みました。冷静になって問題を読むと自然公園法につ
いては設問1部分すなわち配点50点のうちの25点か30点くらいでしたので、条文を
ひきつつ淡々と解答しました。
  悩ましいのは設問2部分でした。無理筋な主張をそもそも当事者適格すらあやしい本件
団体が主張するということで、環境訴訟は難しいなぁと思いつつ解答しました。
  第二問目も紛争を内容とした環境法の問題としてはオーソドックスな問題であったので、
受験生のほとんどは書きやすい問題であったと思います。

☆受験後の感想☆
  2009年度の環境法の問題は、二問とも書こうと思えばかなり分量を書ける問題であ
ったと思います。
そして、基本を問うという過去問の方向性を継承する問題であったと思いました。
  前日の択一の難易度が上がったと感じられ、また問い方も変化をつけてきていたので、
論文試験はどうなっちゃうんだろうと不安に思っていましたが、後の最初の論文科目で
ある環境法で、問題の方向性および難易度が変わってないと思い、少し安堵感を感じました。
  もっとも、その後の公法・民事・刑事系の問題は安堵感を吹き飛ばすものでした。。
  難易度が上がったのではないかと受験生の間では噂されているみたいですが、僕も5日
間が終わって帰途につく中
  「やはり、司法試験は難しい」
と思いました。


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□■□ 沖縄視察の感想(2009/5/16〜17) □■□

                   青森司法修習生 市野綾子



1.泡瀬干潟の視察
泡瀬干潟を一目見たときは,想像以上に広大で,全体的にグレーっぽい,以外にも
地味な色合いの干潟だと思った。
まずは,ミナミコメツキガニを見つけた。
彼らは非常に警戒心が強いので,すぐに体をぐるぐる回転させてドリルのように穴を
掘って潜ってしまった。その場にしゃがみこんでじっとしていると,数匹が穴から出
てきた。背中の甲羅が薄い群青色っぽくて美しい。絶え間なく砂を口に入れて食事を
していた。砂地のあちらこちらにミナミコメツキガニが吐き出した砂団子が散らばっ
ていた。小さな体で一生懸命な姿が非常に愛らしい。
次は,タマ貝の卵を産卵するための「砂茶碗」を見つけた。その名の通り,砂でできた
茶碗のような形をしていて,触ってみると,結構しっかりと固められていた。
それから,何というのか忘れたが,全長0.5センチほどのカニも見つけた。
海水を多く含んだ砂地では,歩くたびに,砂地がこぽこぽ鳴った。
海水が10センチくらいのところでは,大きな岩をひっくり返すと,ナマコ,ウミケムシ,
ヤドカリ等,多数の生き物が生息していた。

2.辺野古の海
2日目は,辺野古の沖に出た。途中,野生の海ガメが2匹,海面で戯れているところに
出会った。本当の野生の海ガメが自分たちのすぐ近くで,キラキラ光る海面に顔を出し
たり,もぐったりしている様は,とても神秘的で感動した。

3.沖縄全体を振り返って
沖縄の海は,観光産業のためにも上手に利用する必要があることは否定できない。
しかしながら,自然の不可逆性を無視してはいけない。今回,実際に問題となっている
干潟や海を体感して,改めて不合理・不必要な工事のために自然を簡単に壊してはいけ
ないという思いを強くした。自然と観光産業が何とかして共存する方法はないものか,
と考えずにはいられない。 

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□■□JELFからのお知らせ □■□

■プレ・インターンシップのお誘い

環境法選択・環境法に関心をお持ちのLS生のみなさん、夏休みを利用して、
環境問題・事件に取り組んでいる弁護士の事務所で研修を受けてみませんか?!

JELFでは、希望者に対し、会員事務所での研修の紹介を行います。
希望地・希望期間等は個別に相談に応じます。

申し込み・お問い合わせは→jelf@green-justice.com

 

■JELF大阪支部 連続勉強会第1回
   信託法を活用して子孫に美田を残そう
       ―環境を守る非営利セクターを市民の力でどう強化するか?
    
寄付金文化のないニッポン。選挙前で政府は環境投資に大盤振る舞い。
でも天下り財団法人にお金は回ってもNPOは苦戦。
やはり市民の力でNPOを強化するしかない。
少子高齢化のうえ、老後不安。老後資金はしっかり残しておくけれども、
いざ残して相続争いも嫌だ!という人は多いはず。
信頼できる団体に、未来の世代のため自然のために、残ったお金を託したい
ささやかだけれども、自分の死後に、生きた証を何か遺したい
そういった気持ちの受け皿を法律家として創っていきませんか?
「自然の権利基金」だって、もっと商品開発ができるはず
「亡き宇崎さんのナキウサギ基金」「△さんのヤンバル・がんばる基金」・・・
今、財政がきちんとすれば、毎年1人くらい環境専門の若手弁護士を雇用できる
閉塞感ある今だから、新たな可能性を求めて勉強会を始めませんか

☆ 弁護士・修習生・LS生のご参加お待ちしております。(事前予約不要・無料)

▼とき     7月24日 午後6時半
▼場所     あすなろ法律事務所大会議室
           大阪市中央区淡路町3−3−10−3F
         地図はhttp://asunaro-l.gr.jp
▼内容     まずは信託法って何、普通の遺言とどこが違うの? から始めます。 
▼レポーター   藤原 航 第62期司法修習生(大阪修習、環境法選択)
▼主催     日本環境法律家連盟大阪事務所
▼ 問い合わせ先 jelf-osaka@green-justice.com
ご案内  

 



■7月18日、19日、夏の修習祭
〜環境企画にご参加を!!〜

  夏の修習祭は、全国からたくさんの修習生、ロースクール(修了)生、
弁護士が集まって様々なテーマについて楽しく勉強する伝統行事です。
今年は、7月18日(土)、19日(日)の1泊2日、京都で開催します。
19日には、環境問題に関心がある修習生(環境法選択者多数)が、
沖縄の泡瀬干潟埋立訴訟をテーマに「環境企画」を行います。
環境問題に関心のある修習生、ロースクール(修了)生・、弁護士等が
集まって、情報・意見交換をして、一緒に環境問題の解決に取り組む
ためのネットワークづくりの第一歩となればと思っています。
企画の後は、懇親会も予定しています。

楽しく、熱い企画にしようと、担当の修習生一同準備に励んでいます。
環境問題に関心のある方、新司法試験で環境法を選択した方・しようか
迷っている方など、たくさんの方に来ていただきたいです。
ぜひぜひお越しください。

企画担当者:市野(青森修習)、小谷(大阪)、小町(京都)、鈴木(奈良)、
         橋澤(東京)、水田 (富山)、見田村(津)、室谷 (大阪)

▲▽夏の修習祭▲▽

*日時* 7月18日(土)〜19日(日)
*場所* 京都教育文化センター
*参加費*:1000円 懇親会費:3000円 宿泊費:5000円
*参加申込* 下記HPより
  http://shin62ki-natsusyu.hp.infoseek.co.jp/

※修習生・ロースクール生(修了生を含む)には交通費・宿泊費の
補助がありほとんど費用がかかりません。       

 

▽▲環境企画の内容▽▲ 
             7月19日(日) 10:00〜11:30
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環境法律家スピリット
-宝の海を守れ!泡瀬干潟埋立訴訟から考える-

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●講師●
     白川 秀之 弁護士 (名古屋北法律事務所)
     前川 盛治 さん (泡瀬干潟を守る連絡会事務局長)

西南諸島最大の干潟といわれる沖縄県沖縄市にある泡瀬干潟。
多種多様な生き物の宝庫である泡瀬干潟が、今、公共事業により
埋め立てられ、消滅しようとしています。
干潟を守りたい地元の方たちが訴訟を提起、2008年11月、
埋め立て工事事業に関して、那覇地裁で公金支出の差止判決
が出ました。
この訴訟の弁護団の一員として活躍中の白川弁護士、
原告でもある前川さん(沖縄から参加!)を講師にお招きして、
豊かな自然を守るために、法律家に何ができるのか、
環境運動を広げ、問題を社会へ認識させ、解決への道筋を
つくっていくにはどうしたらよいかなどについて考えたいです。

※企画終了後、2時間程度の懇親会を予定しています



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   目指しています。ぜひ、ご意見ご感想、実務家への質問等、また、
   自主ゼミ・勉強会等の案内等お知らせ下さい。
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