Mail Magazine for L.S. students issued by JELF
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■□■ ECO Tama ■□■ 創刊号        2004.9〜10月
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*JELF は、法的手段によって環境保護運動を進める、全国約480名 の
弁護士によって構成されている環境保護団体です。
 ECO Tama=「エコ たま」とは、エコロジー・ロイヤーのたまごたちという
 意味。環境問題に対する関心を共通項として集まった仲間の情報交流
 メルマガです。 ECO Tamaは、ロースクール生の皆さんに有用な情報を提供
 するため、JELFから無料でお届けします。

*ECO Tama は、隔月間でお届けします。

*ECO Tamaの購読申し込み、JELFへの連絡・お問い合わせは後掲の
メールアドレスまでお願いします。
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□■□ CONTENTS □■□

□沖縄ジュゴンを守れ!
 8月4日 サンフランシスコ連邦地裁にて
 JELFをはじめ日米の環境保護活動家が、米軍普天間飛行場代替施設をめぐ
 り、ジュゴン保護を求めた訴訟の初回口頭弁論がひらかれました。
 口頭弁論当日には、3大ネットワークを含むテレビ局5社や新聞社が取材
 に訪れるなど、 米国メディアからも高い関心が寄せられました。
 その中から、現地紙 San Francisco Chronicle 記事の一部を紹介します。


□お役立ち情報 その1
 環境法攻略ツール1. 「L.S.の先生が勧めるテキスト、参考書はこれ」

□お役立ち情報 その2
 中部地区L.S.生をサポートする!ロースクール・アドボカシーセンター
 あいち開設

□お役立ち情報 その3
 環境事件最前線・・・最前線にたつ弁護士が自ら関わった事件の状況を
 ブリーフィング
 「高級マンションが建築途上で解体の理由」横浜弁護士会
                     弁護士 薦田 哲
□ JELF からのお知らせ

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□■□ 沖縄ジュゴンを守れ!□■□

 本訴訟は、名護市辺野古沖に建設予定の米軍普天間飛行場代替施設
 により、当海域を主要なえさ場とするジュゴンが、絶滅の危機
 に追いやられるとして
 米国の国家史跡保存法(National Historic Preservation Act)
による保護を求め、1993年秋提訴された。
以下は、現地紙(San Feancisco Chronicle)による報道の一部。


「絶滅危惧種であるジュゴンが沖縄米軍基地移転計画によって
おびやかされている!
〜8月4日 サンフランシスコ連邦地裁における口頭弁論にて
環境保護活動家ら米法の適用を求める」


 沖縄の海に生息する、おとなしい草食動物であるジュゴンが、絶滅の危機
 にさらされている。米軍普天間飛行場の代替施設建設予定地である
 辺野古海域は、彼らの大事なえさ場なのだ。
 8月4日(水)サンフランシスコ連邦地方裁判所において、日米の環境
 保護活動家たちは、沖縄の人々に伝統的に崇められ、日本の文化財保護法
 によって天然記念物に指定されているジュゴンを保護するため、連邦法の
 適用を求めた。 

 本訴訟は、1993年秋に国防総省(the Deoartment of Defence)を被告
 として提訴された。原告は、普天間飛行場の辺野古海域への移転計画の
 見直し、少なくとも、ジュゴンを保護するための方策がとられるまでの
 延期を求めている。原告によれば、同海域の珊瑚礁は、ジュゴンにとって
 現存する数少ない大事なえさ場であるという。
 原告である、日米の環境保護活動家たちは、「国防総省からも、日本政府
 からも確かな手応えがない以上、連邦裁判所だけが、頼みの綱だ」
 言う。

 司法省(the Department of Justice) は、外国(日本)の生き物を保護
 するため 国家史跡法(National Historic Preservation Act) の適用
 を求めると言う先例のない、原告側の主張を争っている。
 1996年に制定された国家史跡法(National Historic Preservation Act)
 は、「歴史的に重要な意義を有する史跡等に害を及ぼしうる計画が実施
 されようとする場合、連邦政府は、環境影響評価と同等の事前分析を
 行わなければならい」と規定している。原告は、「同法は、『史跡』を
 自国または他国において文化的意義を有するものと広く定義している。」
 と主張する。
 原告側の Earthjustice (Oakland) 所属のマルチェロ・モロ弁護士
 (Marcello Mollo) は、「法は、何が文化的に重要か決定することを
 各国の責任としている」とマリリン・パーテル主席判事(Marilyn Hall
  Patel) に訴えた。 基地移転計画に反対する地元住民らは、建設準備
 のための予備海底ボーリング調査に抗議し、飛行場建設予定地近くの砂浜
 のテントで100日以上も座り込みを続けている。原告は、ボーリング調査
 の 騒音もジュゴンに害を及ばす虞があると指摘する。

 他地域のジュゴンとは別種ともされている沖縄ジュゴンは、
 第二次世界大戦末期の激しい戦闘の犠牲となり、その後も減り続けて
 今や50頭ほど生息するのみである。珊瑚礁とその隣接地に建設される
 海上基地のため、ジュゴンは絶滅してしまうかもしれないと環境保護
 活動家たちは危惧する。成長すると、体長3メートル以上、体重300キロ
 にもなるこの生き物は、その生涯の大半を浅瀬でひっそりくらしていると
 いうのに・・・

 法務省のチャールズ・ショッキー弁護士(Charles Shockey)は
 原告の訴えは、2つの理由、によって却下されるべきであると述べた。
 1.動物はNHPA法によって保護される対象とならない
   (Animals aren't historic properties.)
 2. 米国政府は、基地建設に係る予定地の選定・資金調達・あるいは、建築
 工事に関与していない。代替施設はあくまでも日本政府が造るのであって
 、米国政府は関係ない。
 また、「日本人はジュゴンの保護に神経質すぎる」とも述べた。

 これに対し、パテル判事は、建築計画は合衆国のためである(on
 behalf of the United States) と指摘したが、
 訴訟を係属させるかについての即断は避けた。
 弁護士たちによれば、本件は、国家史跡保存法の国際適用を求める
 リーディングケースである。

  San Francisco Chronicle 1994.8.5 BOb Egelko

■ National Historic Preservation Act
Section 402

Prior to the approval of any Federal undertaking outside the
United States which may directly and adversely affect
a property which is on thet World Heritage List
or on the applicable country's equivalent of the National
Register, the head of a Federal agency having direct or indirect
jurisdiction over such undertaking shall take into account
the effect of the undertaking on such property for purposes of
avoiding or mitigating any adverse effects.


■「沖縄ジュゴン訴訟」の訴状は、JELFのHPにUPされています
http://www.jelf-justice.org/english/documents/AMENDEDCOMPLAINT.pdf

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□■□環境法攻略ツール1.
 「L.S.の先生が勧めるテキスト、参考書はこれ」□■□

  関西学院大学大学院司法研究科教授 弁護士 池田直樹

 大塚直「環境法」(有斐閣)か、
 阿部泰隆・淡路剛久編「環境法(第三版)」(同)。
 前者は分量的な難点はあるが、立法過程にも踏み込んで制度の課題などを
 解き明かしている。後者はやや面白味に欠けるが、標準的。
 司法試験対策としては、宣伝になるが私も編者の「公法」(日評)の環境
 関連問題参照。なお日弁連公害環境委員会が近く参考書を出版する予定です。

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□■□ 中部地区L.S.生をサポートする!
「ロースクール・アドボカシーセンターあいち」開設□■□


 人権擁護活動に積極的に取り組む法律実務家を養成するため,
 法科大学院生の皆さんの学習を支援するセンターを立ち上げました。
 8月24日には,第一回サマーセミナーを開講し,過労死事件の当
 事者の話や,無罪事件の話を,35名の法科大学院生の方に聞いて
 いただきました。
 今後も,大学院では聞けない,魅力的なセミナーを行っていきます
  ので,是非ご参加ください。
 また,事務所訪問やプレ・エクスターンシップ(事務所研修)も受
 け付けています。
 お問い合わせは,名古屋南部法律事務所 弁護士 高森裕司まで
takamori@aba.ne.jp

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□■□環境事件最前線
 「高級マンションが建築途上で解体の理由」
              横浜弁護士会  弁護士 薦田 哲 □■□

 問題マンションは、大企業Tらのシンボル的な建築物となるはずであった。
 しかし、近隣住民にとって、高さ31mの500戸を超える巨大物体は、
 低層住宅地の眺望・景観を破壊するモンスター以外の何物でもない。
 住民は、景観権等の侵害を理由に提訴した。
 最高限度高さ15mの高度地区にその2倍を超えるモンスターを適用除外
 にした中庭式の「公開空地」の濫用等を問題にした。
 景観破壊の有無を検証する現地検証日も間近に迫っていた。
 ところが、その直前、事業者の計画断念で検証が中止、建築しないとの
 事業者の約束で裁判を終えた。
 その理由は、現場で発見された産廃由来の土壌汚染であった。
 土地の売り主が、代金129億円、損害金43億円を買い主に返還し、
 50億円をかけ土壌改良する。
 すでに基礎工事を終え、4階まで建築途中で、当該物件は解体の運命と
 なった。
 景観侵害については裁判上決着できなかったが、これは、住民運動の成果
 でもあり、インターネットを通じた詳細な問題提起の成果でもある。

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□■□JELFからのお知らせ□■□

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  11月1日に発行の予定です。

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