2015年度 活動方針 @徳島県、上勝まちづくり総会

 

総会報告

 5月30日に2015年度の環境法律家連盟の総会が開催されました。正会員の出席者が17人、委任状の提出が277人で、定足数156人をみたして総会は成立しました。
  総会では、籠橋代表のあいさつのあと、環境をめぐる情勢として@公共事業の新しい動き、A辺野古の埋め立て承認など沖縄をめぐる情勢、Bその他の環境訴訟などについて意見交換を行いました。続いて、JELFの組織・財政に関して、弁護士会員の会費収入が減少している中でJELFの活動の維持も困難になっていることを踏まえ、各弁護士会の公害環境委員など環境問題に関心を持つ弁護士に広く入会を訴える活動を展開することを確認しました。

 また、新たに池田直樹副代表が代表に就任し、事務局長に吉浦勝正弁護士が就任するとともに、添付の通り役員の変更が承認されました。


 

2014年度、活動報告

  *JELF大阪支部がJELF関西支部になりました。

2/20    JELF大阪シンポ エネルギー問題講演会〜コミュニティー発電の可能性
3/1    JELF 沖縄の公共事業問題総会@那覇
3/2~3/3  JELF 沖縄本島やんばる現地視察
3/16    法科大学院生対象・環境法の学習会@大阪&東京
4/19    JELF大阪支部総会(→JELF関西 に名称変更)
      JELF関西シンポ トチノキ保護シンポ
8/1    辺野古埋立問題 沖縄ジュゴン米国訴訟 緊急院内集会in国会&沖縄同時会見
8/1-8/2  JELF関西 若手合宿in能勢
8/8     JELF関西シンポ 尼崎公害訴訟解決への取組み
9/6-9/10 ジュゴン弁護団SF-DC tour
9/12-9/13 法科大学院対象・環境サマーセミナー(日弁連)@上智大学
        →交流会(公害弁連、ゴミ弁連協賛)開催
10/4-10/5 JELF北海道ナキウサギツアー
11/6    新68期合格祝賀記念勉強会@名古屋
11/8     新68期合格祝賀記念勉強会@東京
11/22    新68期合格祝賀記念勉強会@大阪
12/9〜12 ジュゴン弁護団 SF傍聴ツアー
12/13    JELF拡大理事会、地球温暖化シロクマ訴訟シンポ@東京
12/27    JELF LS生向け答案練習会


 

2015年度、 活動方針

第一 環境問題をめぐる情勢と課題


  公害、有害化学物質汚染、廃棄物、都市景観、自然環境保全、地球環境も第など多くの課題が存在し、JELFは引き続きあらゆる環境問題に取り組んでいる。その中でも今日最も重要な課題は東北大震災による被災、福島第1原発事故の被害に我々は何を学ぶかという課題である。それは持続社会の実現への取り組みが各地で具体的に実施されている形であらわれている。
  高浜原発の勝訴判決をどのように評価するべきかについては、安全性をめぐる価値観が大きく変わったというだけでなく、私たちが目指すべき新しい社会は何かを提起した判決であると視点からも評価されるべきである。
  循環社会、低炭素社会、エネルギー自給社会、真の意味でのコンパクトシティなど、これらは身近なコミュニティがいかに持続的であるか、自律独立した社会を築き上げていくことができるかというコミュニティの環境的なマネジメントの課題である。
  しかし、一方で原子力発電所の再稼働、あるいは沖縄県民や地元名護市の意向を踏みにじってまで軍事基地を作ろうという政府の動きは震災や福島の教訓に逆行する動きに他ならない。リニア中央新幹線開発が全国的に進められている。大規模開発による国土開発と自然環境問題のあり方、東京など大都市中心の経済社会構造、電力を大量消費する動きなどいずれも持続社会の発展とは逆行する課題である。
  これらの政策は根本的には日本国憲法のあり方を変えようとする現政権の動きの一環であることからJELFとして憲法擁護の動きに幅広く連帯する必要がある。とりわけ、憲法改正が「環境権」を利用して人権制約、平和主義の修正という本質を覆い隠すものとして利用される可能性があることから、環境保護団体であるJELFがこの問題と取り組む意義は大きい。
  こうした情勢の中で、JELFは引き続き持続社会作りへのマネジメントの取り組みを進め、さらに時代に逆行する動きに反対していく行動が必要である。

 

第2 各分野のとりくみについて

1 原子力問題


1)はじめに
  福島第一原発の事故から早くも4年が経過した。しかし、未だに収束の見込みは立たず、避難者の数は今も10万人を超えている。それにもかかわらず、各電力会社は、原子力規制委員会に対して再稼働に向けた審査の申請を次々に行ない、鹿児島の川内原発をはじめとして、この夏以降の再稼働が囁かれている。
  このように危機的な状況が続く中で、以下のような訴訟が全国で係属しており、JELFとしては引続きこれを支援し、新しいエネルギー社会、持続可能な社会の実現に向けて取り組んでいく。


2)被害賠償への取り組み
  避難指示が解除されても帰還する人々が一部にとどまる一方、避難先に留まっても賠償金の支払いが終了する等新たな問題が発生する中、各地で提起された原発事故の避難者による損害賠償請求訴訟においては、原告尋問が始まる等、山場を迎えている。


3) 原発の再稼働について
前述のとおり、原発再稼働に向けた動きが加速する中、司法はこれまでとは違った態度を示している。2014年5月21日には、福井の大飯原発3、4号機の運転差止訴訟において差止判決が下され、本年4月14日には、同じく福井の高浜原発3、4号機で運転差止めの仮処分決定が出された。
  前者は、「生存を基礎とする人格権が公法、私法を問わず、すべての法分野において、最高の価値を持つとされている以上、本件訴訟においてもよって立つべき解釈上の指針である」とした上で、事故によってこの人格権が広範に奪われるという「事態を招く具体的危険性が万が一でもあれば、その差し止めが認められるのは当然」とし、後者では、原子力規制委員会の新しい規制基準について、「深刻な災害を引き起こすおそれが万が一にもないといえるような厳格な基準にすべきだが新しい規制基準は緩やか過ぎ、適合しても原発の安全性は確保されていない。規制基準は合理性を欠く」と明言したのである。
  しかし、その後、川内原発の再稼働差止めの仮処分については、4月22日に却下決定が出されている。


4) 原発メーカー訴訟
  責任集中制度によって免責される原発メーカー(福島第一原発では、GE、東芝、日立)を被告とした訴訟が、2014年1月30日及び3月10日に、合計約4200名の原告によって提起された。海外原告約2700名の委任状と原告目録との付け合せに1年以上の時間を要したが、本年6月3日には進行協議が行われ、第1回口頭弁論期日が決定する予定である。この訴訟においては、責任集中制度を違憲無効とする根拠としての新しい人権、ノー・ニュークス権(原子力の恐怖から免れて生きる権利)の確立も重要論点となる。

 

2 持続可能な社会に関する取組み

 現代において、環境分野におって最も重要な理念である「持続可能な社会の実現」は(純粋な)環境に限るものではなくなってきている。すなわち、少子高齢化等が進む過疎地域などのいわゆる社会環境においても、その問題が先鋭化している。
それに対して、現在、このような過疎地域等の活性化に対する対策・政策に特化したタイプの弁護士は存在しないに等しい。
そこで、JELFでは、この問題に対応するため、今後、環境法の分野に関連する再生可能エネルギー(地域発電等)に取組むNPO、地域コミュニティーの持続可能性に取組む行政やNGOとも共同したプロジェクト型の事業に参画するという、全く新しいタイプの「環境弁護士」のモデルを築くべきではないかということが議論された。
今後は、このような新しい環境弁護士の在り方を推進するためにも、環境訴訟とともに、訴訟外の環境法務についても継続的に取り組む活動を活性化させる必要がある。これにより、社会環境においても「持続可能な社会の実現」を目指すことを目的とする。

 

3 気候変動


1)情勢

  2013年9月5日に発表されたIPCC第5次報告書は、温暖化は95%以上の確率で人為起源だといえ「疑う余地がない」、1880年から2012年の間に世界の平均地上気温は0.85度上昇した、海水の温度が上昇しており、酸性化も見え始めている。陸氷は減少傾向にあり、北極海の氷は激減、海面は1901年から2010年の20年間で19センチ上昇した等の結論を述べている。
  このように気候変動を巡る情勢は厳しさを増しているが、これに対応する目立った成果はない。
  国際社会は、2015年12月にパリで開催されるCOP21にて、2020年以降の温室効果ガス削減の新たな枠組みについて採択することを目指し、EU・アメリカ等の諸国が既に、積極的な削減目標値を盛り込んだ国別目標案を提出している。これに対し、未だ国別目標案を提出していない日本は「2030年までの温室効果ガス排出量を13年比で20%前後削減する新たな目標を打ち出す方向で調整に入った」と報道されているところ、13年比20%前後削減とは90年比10%程度の削減を意味するに過ぎず、他の先進国と比べ極めて後ろ向きな態度を表明しようとしている。


2)シロクマ裁判の状況

  10電力会社及び電源開発を相手方としてCO2排出削減を求めた公害調停の申立ては2011年の第1陣、2012年の第2陣ともに却下されたことから、同年5月11日、却下処分取消訴訟を提起した。
原告は、シロクマ、JELF、ツバルオーバービュー、ツバル人18名を含む48名(シロクマは分離の上、却下)。
最大の争点は、気候変動が環境基本法における「公害」に該当するか、及び調停による解決可能性があるかである。
  ところが2014年9月10日東京地裁は、地球温暖化が「公害」に当たらないとの理由で原告の請求を棄却する判決を言い渡した。控訴審では2回の弁論を経た後、判決言渡期日が2015年6月11日に指定された。


3)今後の展開
  現在、脱原発を口実に、CO2を大量に排出する石炭火力が推進されかねない危険な状況にある。持続可能な発展のためには、「原発ゼロ」を前提とし、さらに化石燃料への依存からも脱却し、CO2の大幅削減を早期に実現しなければならない。
  JELFとしては、シロクマ裁判に全力を尽くすとともに、NGO等との連携をさらに強化し、運動を活発化させ、気候変動対策の緊急性を地道に訴えていく必要がある。

 

4 公共事業

1) 国の状況
  公共事業費は2012年度までに漸減し4.7兆円まで減少したが、その後増大に転じ、2015年度当初予算では約6兆円まで増加した(近年では財政法の「緊要」要件を欠くまま補正予算が組まれることが常態化しており、公共事業費がさらに増大することが予測される)「かつて14兆円以上あった公共事業費はいま6兆円。地方の建設業がもつはずがない」(麻生財務相)との発言(2014年12月)に象徴されるように、政権は公共事業費の増額圧力をかけ続けている。税収が50兆円程度しかない状況で、必要性等が精査されないまま新規公共事業に予算がつけられている。財務省は「自然災害に対応するための事前防災・減災対策を充実するとともにインフラの修繕・更新といった老朽化対策を計画的に推進」(「27年度予算のポイント」)として安全のための予算であることを強調するが、個別事業の必要性が審査されていないことには変わりないし、老朽化対策予算の額やこれが新規事業に優先することは明らかにされていない。インフラ老朽化対策を計画的に推進する法制度も確立されていない。国土交通省が2014年度白書において国から自治体への技術支援のモデル例として紹介した静岡県浜松市の原田橋は、2015年1月崩落し、浜松市職員2名が亡くなった。「地方創生」予算1兆円も、「ムダな」公共事業に浪費されない保障はない。


2) 個別事業の状況(以下「○月号」とあるのは2014年環境と正義の号数)

@ 良い出来事
 住民訴訟で勝訴した住民側に報酬請求が認められた泡瀬干潟住民訴訟弁護士報酬請求訴訟(1/2月号)、熊本県路木ダム住民訴訟の勝訴(5月号)等があった。


A 悪い出来事
 リニア中央新幹線(事業者はJR東海であるが国土強靭化基本計画に位置付けられ、税の減免など優遇措置がされている)については沿線自治体知事、環境大臣、環境NGOや日弁連から環境影響についての課題が指摘されたが(6月号)、充分な配慮がされないまま着工された。江戸川スーパー堤防工事も強行されている(土地区画整理事業取消訴訟敗訴、7月号)。諫早干拓潮受け堤防は、開門を命じる間接強制決定(6月号)後も開門されていない。


B SLAPP訴訟による非暴力直接行動に対する抑圧
 沖縄県高江ヘリパッド事業(10月号)や長崎県石木ダム事業に対し抗議する住民らが座り込みなどの非暴力直接行動を行ったことに対し、事業者が妨害禁止等の仮処分申立で抑圧する例がめだってきた。


C 原告適格が課題である例
 2013年末にされた沖縄県辺野古・大浦湾埋立てに対する知事の承認が公有水面埋立法に違反しているとして取消しを求める訴訟が提起されている(4月号)。原告住民に原告適格が認められるかが課題となる。   
3) 公益環境団体訴訟への期待
  今年に入って泡瀬干潟住民訴訟(第2次)、成瀬ダム住民訴訟など住民訴訟での敗訴が相次いだ。前記Cのように原告適格が課題になる例も残っており、まずは原告適格の壁をのりこえるために、公益環境団体訴訟制度の導入が望まれる。環境団体訴訟制度は国際的には標準的な制度であるが、日本では環境影響評価法改正の際「今後の課題」とされて以来、導入へ向けた具体的な動きはない。

 

5 生物多様性に関する問題


1)2014年度の取り組み

 生物多様性条約第12回締約国会議(韓国・平昌ピョンチャン)に参加した(会員弁護士5名、事務局1名)。
JELF事務局が、第9回(ドイツ・ボン)第10回(名古屋)、第11回(インド・ハイデラバード)に続いて4回目の参加となった。日本、インド、韓国へと続いたアジア開催の中で、特にアジア地域の市民・NGOの国際的な連携を深める上で、JELF事務局が、大きな役割を果たした。
 生物多様性条約は、条約の性質上、市民・NGOの参画を条約の目的達成のための不可欠の要素と位置づけており、JELFが同条約の目的推進において大きな役割を果たしたことは大いに評価すべきである。
また、JELF 会員5名が、日弁連・公害環境委員会のブースを出展した。弁護士が環境問題に取り組んでいることは国際的には珍しく、日本の環境訴訟の成果や環境派弁護士の存在と役割を発信する好機となり、外国の代表らは興味を持って聞いてくれていた。
 個別事案では、熊本県路木ダム住民訴訟の勝訴等があった一方、リニア中央新幹線が、沿線自治体知事、環境大臣、環境NGOや日弁連から環境影響についての課題の指摘があったにもかかわらず充分な配慮がされないまま着工され、江戸川スーパー堤防工事も強行され(土地区画整理事業取消訴訟敗訴)、諫早干拓潮受け堤防は、開門を命じる間接強制決定後も開門されていない等、課題を残した。


2) 2015年度の活動方針
@ 開発行為に対する「回避→低減→代償措置」の提唱
  日弁連公害環境委員会では、6月12日から20日の日程で、カリフォルニア州に、生物多様性オフセットの法制度と実践、及びその課題を視察に行く予定であり、10名以上の会員が参加予定である。
  JELFでは、日弁連とともに、生物多様性オフセットについて学び、我が国での導入の可否、利点と課題について議論を深め、発信していく。


A 無駄な開発行為からの生物多様性の影響の回避、低減
JELFでは、ダム、原発など大規模かつ無駄な公共工事(開発行為)に対しては、裁判等を通して、開発行為の差し止め(回避)ないし計画変更(低減)を迫っていく。この場面では、とりわけ、行政訴訟における原告適格・処分性の拡大、裁量統制に関する判例の前進を勝ち取ることが重要な課題である。


B 開発行政に対する住民参加の推進
  泡瀬干潟訴訟、よみがえれ有明訴訟などによって、公共工事の民主的統制が、生物多様性保全に不可欠な関係にあることが明らかにされてきた。JELFでは、生物多様性保護政策に対する市民参加のシステムの実現をめざして政策提起を行っていく。


C 生物多様性国家戦略を担保する法的統制、環境アセスの実効性の確保をめざして政策提起を行う。また、近時頻発している、開発推進側によるいやがらせ訴訟に対する、対抗運動を展開する。


D その他
ラムサール条約第12回締約国会議(6月@ウルグアイ(ブンタ・デル・エステ))への参加

 

6 辺野古基地問題(沖縄の自然環境)


1) 情勢と課題

@ 2012年12月に自民党が政権復帰して以来、日本政府は度重なる沖縄県民の辺野古基地建設反対の民意を無視し続け、建設を強行する姿勢を崩さないでいる。沖縄では県民、知事が一体となって反対運動が展開されているが、反対運動の中心人物が逮捕されたり、海上保安庁職員に抗議船を転覆されるなど暴力的に反対運動が弾圧されており、現場は非常に緊迫している。この辺野古基地問題は単なる環境問題にとどまらず、日本の民主主義、日本のあり方そのものが問われる問題となっている。JELFとしては、沖縄の固有の環境、文化を守るため、ジュゴン訴訟に取り組んでいる。

A JELFは、ジュゴンをはじめとする辺野古沖の貴重な自然環境及び文化の保護を求めて、2003年にジュゴン訴訟を提訴し、同訴訟は2012年以降手続が休止状態となっていた。JELFを含む原告は、基地建設の差し止めるべく、2014年8月、サンフランシスコ連邦地裁に対し、本件訴訟手続の再開申立てを行った。しかし、裁判所は、2015年2月、原告適格を欠く、又は政治問題の法理に抵触するとして、原告の請求について却下判決を下した。当該却下判決に対し、JELFは他のジュゴン訴訟の原告とともに、2015年4月、控訴を申し立てた。今後は、第9巡回控訴裁判所において審理されることとなる。

B ジュゴン訴訟は、辺野古基地建設の阻止を米国に対して直接働きかける唯一の訴訟であり、沖縄における反対運動、平和運動にとって重要な意義を有する。基地のない沖縄を取り戻すため、JELFは同訴訟に引き続き取り組んでいく。


2) 2014年度の活動
 ジュゴン訴訟の経過は上述のとおりである。
  2014年9月にワシントンD.C.を訪問し、NHPAの国内手続の制定に際して中心的な役割を担ったTom King氏や有力な関係NGOに対しジュゴン訴訟への支援を要請した。2014年12月にはサンフランシスコを訪問し、サンフランシスコ連邦地裁における弁論(Hearing)への出席、代理人弁護士との協議、関係NGOへの支援要請を行った。


3) 2015年度活動方針
@ 代理人弁護士(Earth Justice)と協力してジュゴン訴訟控訴審を追行し、辺野古基地建設がNHPAに違反することの確認を求める。

A 2014年度に行ったワシントンD.C.訪問及びサンフランシスコ訪問の際に築いた米国の有力な関係NGOとのつながりをさらに深め、米国における反対運動を展開する。

B 引き続き、沖縄県民や関係団体、NGOと連携し、基地建設の反対運動を展開する。

 

第3 法曹養成問題 

1 はじめに
  2006年に新司法試験が始まり、その選択科目として環境法が採用されてから8年が経った。その間、環境法を専門的に学ぶ法科大学院生、さらに環境法を選択科目として選んで新司法試験に合格した弁護士が着実に増えつつある。しかし、一方で、法科大学院によっては教師や学習教材、授業数が不足し、学習支援体制が不十分である等の理由により、環境法自体には興味がありながら選択科目にはあえて選ばない学生が出てしまうケースも生じている。このような状況もあって、司法試験選択科目の中で、環境法の選択者及び合格者数は下から2、3番目の位置にあり続けており、司法試験受験者全体の割合から考えれば、環境法を学ぶ学生の数は伸び悩んでいる。このため、どの法科大学院にもいきわたる形での環境法の教育・学習支援体制の整備と充実が課題となっている。
  そこで、JELFでは、環境法に興味をもつ学生が、専門的に環境法を学び、また試験に合格した後も引き続き環境法の問題に専門的に取り組めるようにするための支援を行ってきている。特に最近の取り組みとしては、2008年度より論点表作成会議を発足して、学習支援のための論点表作成(論点表は改訂を重ね長くなりすぎたため2014年にエッセンシャル版を作成した)の取り組み等を行ったり、2010年度からは環境法の勉強会・直前答練を行ったり、日弁連主催の環境法サマースクールの際に懇親会を開催したりして、環境法に興味を持つ学生、修習生、若手弁護士の交流も図っている。
  他方で、政府の法曹養成制度改革顧問会議によれば、選択科目を廃止することが検討されている。この点については、「2年以内に結論を得る」(2013年7月16日の法曹養成制度関係閣僚会議決定の「法曹養成制度改革の推進について」)こととされた。仮に、選択科目そのものが廃止ということになれば、環境法に興味をもつ学生が減少し、又、興味を持つ学生も環境法を本格的に学習する機会を失うことになる。
 JELFでは、平成25年11月12日付けで「司法試験選択科目制度の存続を求める意見書」を法曹養成制度改革顧問会議に送付し、平成26年の司法試験法改正(平成26年5月28日成立、平成26年10月1日施行)では、とりあえず選択科目廃止は避けられたが、選択科目削減の動きなど今後も状況は不安定であり、引き続きJELFとしての対応が必要となる。

 

2 2014年度の活動総括


1) 2014年度活動目標

  2014年度は、2013年度までに実施した環境法勉強会の結果を踏まえ、改めて環境法の勉強会を実施するなどしていくこと、具体的には、春の直前勉強会、夏のサマースクールに合わせた忘年会、JELF若手合宿の実施、年末の答練等を実施すると共に、論点表をよりコンパクトなものに要約していく作業を、プロジェクトチームを作って進めていくことを目標とした。


2) 2014年度活動実績
 今年度は、2014年3月〜5月にかけて、頃若手弁護士を中心に6名ほどのプロジェクトチームを作り、やや長くなりすぎた論点表のコンパクト化を目指し、最終的に「論点表エッセンシャルver.」が完成した。現在、各勉強会の参加等により告知し、配布中である。
 3月16日(日)にはJELF環境法直前勉強会が実施され、東京で約45名、大阪で30名の参加があった。
 また、8月12日(金)・8月13日(土)に東京で日弁連が主催する環境法サマースクールが開催されるのに合わせて、懇親会を開催した。
  2013年度に引き続き夏に行う予定となっていた若手合宿は、実施が延期された。
  更に、10月から11月にかけて全国各地(東京・名古屋・大阪)において、合格祝賀記念勉強会を実施した。
年末12月27日(土)には、名古屋・大阪同日開催で、法科大学院生・修了生向けの答練も実施し、40名以上の学生が参加した。
 なお、平成27年度の実績となるが、平成27年3月14日(土)にはJELF環境法直前勉強会が実施され、東京で約46名、大阪で38名の参加があった。アンケートも概ね好評であった。

 

3 2015年活動目標

  2015年度は、2014年度以前に引き続き、環境法の勉強会等を実施していきたい。ただ、勉強会自体JELFの知名度アップには貢献していると思われるものの、入会率の上昇、また会員となった後の継続、という観点からはまだ問題がある。また、講師サイドの固定化が進み、負担が集中していることも課題であり、新たな人材の発掘が必要である。
  なお、勉強会の実施時期については、環境法学習会をなるべく早い時期に実施して欲しいとの意見が根強いことから、学習会と、年末答練の時期を入れ替え、具体的には、学習会を年末に実施し、答練を2〜3月頃実施することとしたい。
また、8月に今年度実施できなかった若手合宿を実施する予定である。

 

第4 JELFの組織・財政について


【組織財政】
1 2015年1月末時点での会員数は468名。
 会費負担の大きさや高齢化からの会費未納、退会が続いている

 複数口を納入していただいた会員からも納入口数の削減の申し出が出ている
 年会費1万2000円は高いとの指摘もある


2 決算について
別紙会計報告のとおり。


3 予算について
@ 会費収入については、前年度の収入を前提とした
A 支出については可能な限り縮小した
B 前年度並みの会費収入を前提とすると、繰越金を使い切るような事態に陥る


4 組織拡大について
@ LS生、修習生会員の拡大を引き続き追求する
A 日弁連公害環境委員会、各単位会の公害環境委員会で中心的に活動している若手弁護士の中にJELF未入会者が多く取り残されており、各地の理事が働きかけをするとともに、支部を創設し支部活動を充実させ帰属意識を高める取組が始まっている。
B 拡大PJを発足し、会員拡大に向けて議論をしている。
C 相続財産の信託業務やNPO、NGOの支援活動等の、新たなJELFに関わる弁護士の業務分野を開拓する。
D 退会者に対して再度の働きかけを行う。

 

【人事】


理事長  : 池田 直樹
副代表  : 市川 守弘、只野 靖、
理  事  : 広田 次男、中島 嘉尚、
        西島 和、 菅野 庄一、市野 綾子、島 昭宏
        野呂 汎、 原田 彰好、村田 正人、籠橋 隆明、樽井 直樹、
        藤原 猛爾、赤津加奈美、和田 重太、吉江 仁子、
        谷脇 和仁、国宗 直子、後藤 富和、
        加藤 裕
事務局長: 吉浦 勝正
監  事  : 鷲見 和人
事務局次長:家田 大輔、木村 夏美、室谷 悠子、齊藤 優摩


 


最終更新日 : 2015 820