2012年度活動方針 @福井県、敦賀総会 議案書

 

総会報告

2012年5月13日、福井県敦賀市においてJELFの総会が開催された。参加者は18名(委任状377名)であった。
  総会においては、2011年度の活動報告と2012年度の活動方針案が提案された。原発問題をめぐっては、福島原発事故の被害の全体像を明らかにすることと被害の全面賠償を求める活動に連帯することの必要性が強調され、福島の弁護団の要請を踏まえ、全国の弁護士が力を集中した調査活動に取り組むことが提案された。地球温暖化をめぐっては、経産省のエネルギー政策に関する会議において原発依存度を高めるシナリオまで検討されていることが指摘され、脱原発と自然エネルギーの普及を主張する必要性が議論され、また、国際的な連帯活動を強化することについても議論された。生物多様性と公共事業に関しては、カナダで開催されたCBD国際会議に参加した三石事務局員からの報告も受けた。
  また、法曹要請に関しては、日弁連が開催する環境法サマーセミナーを成功させるためにJELFとしても協力することが確認された。
  最後に理事については、関根孝道氏が退任されたほか、全員が再任された。
  2012年度の理事会については、12月か1月ころに、原発問題を抱える地域で開催することが妥当との意見が出された。

 

2011年度、活動報告

1/22  JELF拡大理事会
     JELF気候変動シンポジウム
2/23  JUCON院内集会『沖縄県東村高江の米軍ヘリパッド建設を中止させよう!』
3/ 6  法科大学院生対象・環境法の学習会@大阪
3/13  法科大学院生対象・環境法の学習会@東京
       →東日本大震災の影響で中止。参加申込みの学生には資料を郵送した。
5/14   JELF大阪総会
      JELF 原発問題シンポジウム
      環境法の論点検討会(大阪)
6/30   地球温暖化問題シロクマ公害調停・申請人募集の緊急記者会見
7/ 2   法科大学院生対象・環境法の学習会@東京
8/2    馬毛島新訴訟に関する弁護団募集の呼びかけ
8/26  法科大学院対象・環境サマーセミナー(日弁連)@京都
      →交流会(公害弁連、ゴミ弁連協賛)開催
9/16  地球温暖化問題シロクマ公害調停、提訴&記者会見
10/ 2  新65期合格祝賀記念勉強会@名古屋
        講師:吉浦弁、木村弁『地球温暖化問題シロクマ公害調停』
10/10  新65期合格祝賀記念勉強会@東京
        講師:青木秀樹弁『原発訴訟のこれまでと、これから』
10/18  泉南アスベスト国賠の上告代理人就任を呼びかける一斉連絡。
10/29  新65期合格祝賀記念勉強会@大阪
        講師:吉原稔弁『滋賀県、福井の原発運転差し止め仮処分』
        講師:藤原智絵弁『大阪アスベスト国賠訴訟』
11/13  新65期合格祝賀記念勉強会@福岡
        講師:高橋謙一弁『大衆訴訟の意味とその闘い方』
        講師:近藤恭典弁『原発なくそう!九州玄海訴訟』
11/17  JUCON院内集会『違法な辺野古アセス評価書の提出を許さない!』
12/18  環境法の論点検討会、LS企画検討会議(大阪、東京、名古屋)
12/23   JELF LS生向け答練習会

 

2012年度、活動方針

第1 環境問題をめぐる情勢


1 混迷する政治情勢

  2009年に政権交代によって民主党政権が誕生した。しかし、鳩山、管、野田の3代にわたる内閣を通じて、同党が公約として掲げてきた重要政策が日に日に後退してきた。
 民主党は、公共工事問題については、「コンクリートから人へ」との公約をかかげ、その象徴としての八ツ場ダム建設の中止を約束していた。しかし2011年、野田政権は公約を破り八ツ場ダム建設を決定した。
 2009年、当時の鳩山首相は、国連演説で温室効果ガスを1990年比25%削減を2020年までにめざすことを宣言した。しかしながら、CO2削減政策の推進、とりわけ排出権取引など削減政策の前進は見られない。それどころか、2011年のCOP17においては、京都議定書の延長に加わらない旨の表明をするにいたっている。
 普天間代替施設である辺野古基地に建設について、民主党政権は反対を表明していたものの、早期にこれを撤回した。2011年12月には環境影響評価書を提出し、あくまでも辺野古基地を推進の姿勢を明らかにしている。
 原子力発電問題については3・11東京電力福島第一原発事故以降、事故原因の検証も不十分であるにもかかわらず、、早期の原発再稼働を目指すなど原子力政策に対する根本的な転換を求める国民の声に背を向けている。現在最も重要な争点となっている福井県大飯原発の再稼働についても、政府は暫定基準なるものを設定することで再稼働を強行しようとしている。
 このように、民主党政権は公共事業、地球温暖化、基地・平和問題、原子力政策といった最も重要な争点について著しい後退を続け今日に至っている。混迷する政治状況下にあって環境問題に取り組むに当たっては、原点に戻って訴訟、運動を展開することが求められる。すなわち、無駄な公共工事が自然生態系や地域のコミュニティーを破壊するものであること、電力会社などエネルギー転換部門に排出者としての責任があること、気候変動問題は国際的な不公正の問題でもあること、基地問題は騒音、水質汚染、自然破壊、地域文化の破壊など基地に伴う深刻な人権問題であり、環境問題であること、原子力に依存しないもう一つの社会をつくることが焦眉の課題であること。こうした人々の権利と憲法を擁護することを原点として、環境問題に取り組む必要がある。混迷する政策にあって、権利、公正といった憲法上の原則を提示して環境問題の進むべき指針を提示することがJELFの使命である。

2 東日本大震災
  1) 2011年3月11日に日本の太平洋三陸沖を震源として東日本大震災が発生した。マグニチュード9.0の震度及び地震後の巨大津波が東北地方太平洋岸を中心に未曾有の被害を招いた。現在被災地では復旧・復興に向けた努力が進められているもののその進捗は遅れている。東日本大震災から私たちは再度日本の社会のあり方を見直し、あらたな地域づくり、まちづくりのあり方について提起していくべきである。
  2) JELFはこれまで、「持続性」の考えを重視して活動を展開してきた。生物の多様性にあってはコミュニティーの持続性を実現することが生物の多様性を維持することにつながるとの考えのもとで運動を展開してきた。廃棄物処理についても、循環社会の実現のためにはコミュティーそのものが廃棄物を抑制するとともにコミュニティーそのものが循環社会を実現することが求められた。都市にあってはコンパクトシティの考え方から歩いて住める都市を検討した。その他、JELFの政策は常にコミュティーの持続的な発展の考えを中核にしたものであった。
  3) JELFは、東日本大震災からの復旧・復興に関しても環境問題の視点から意見を持ち、行動することが求められる。

 

第2 各分野のとり組みについて


1 原子力発電所など原子力問題


1) 福島第一原発事故から一年以上が経過した。政府の「事故収束宣言」にもかかわらず現在も毎日のように新しい問題が発生しており、深刻な状況が続いている。福島第一原発事故は、原子力発電所において深刻な事故が発生すると、空間的、時間的にも無限の広がりをもった被害が発生し、地域社会に壊滅的な打撃を与えること、原子力のかかえるリスクが人の制御を超えるものであることを改めて示した。
  政府は原子力発電所を国策として推進してきたが、その前提ととされていた「原発が絶対に安全である」ことが、非科学的で誤った考えであることが明確となり、政府の原子力推進の根拠が失われた。それにも関わらず、政府は関西電力大飯原子力発電3、4号機の再稼働の必要性があると判断し、原子力発電を今後も推進する姿勢を示している。原発推進のためにはためには、人命や環境を二の次に考える姿勢が明らかとなったのである。

2) 福島第一原発事故をつうじて、原子力エネルギー政策を、環境に有害な影響を与える公害・環境問題としてとらえることが必要であることを改めて明らかになった。JELFは、多くの環境団体とともに、原発の即時廃止を求めた運動を展開していく。
  @ 福島第一原発事故の被害は大きな広がりを見せ、現在もなお進行中である。被害の全体像を明らかにする取り組みを進め、被害の全面賠償を求める運動を全面的に支援し、政府に対し被害者を救済する立場に立った施策を要求する。
  A 原子力開発が持続社会の形成にはつながらず、人の生存と、環境に大きな危険をもたらす環境問題としてとらえ、環境問題に相応しい取り扱い、すなわち正確な情報開示と、原発の廃止を求めていく。
  B 原子力発電所の停止、廃炉などを求める運動、特に原発訴訟の連携強化を図る取り組みを行う。

 

2 気候変動問題


1) 気候変動問題は、持続可能な社会を実現するために避けることのできない最重要課題である。ところが、日本では、リーマン・ショック以降の経済危機が深刻化する中、しかも東日本大震災及び福島原発事故が発生したことにより、被災地のの復興を中心とする景気回復、そして脱原発が、全国民にとって最優先の関心事となった。
  このような状況に乗じて、気候変動対策が景気回復に逆行するであるとか、地球温暖化対策のためにも原発推進が必要であるといったプロパガンダが一定浸透していたこともあり、CO2排出削減、排出枠取引等の課題は、軽視される傾向が強まっている。世界の中で取り残されつつあった日本の気候変動への取組みは、さらなる後退を余儀なくされようとしているのである。

2) このような状況下において、JELFは昨年1月に電力会社を相手方としたCO2排出削減を求める「シロクマ公害調停」の計画を発表し、3.11直後に気候ネットワークの協力を得て、「気候的正義(Climate Justice)」を実現するためのプロジェクト「クライメットJ」を発足させた。そして、5月以降、公害調停の申請人やサポーターを募集するために数々のイベントを連続的に開催する等の活動を行い、9月16日には、公調委に対し、100名を超える申請人による調停の申し立てた。
  この申請は、11月29日付をもって、却下決定がなされたが、本年3月28日には、ツバルの20名を含む35名による第二陣の申請を行い、さらに5月11日には、却下決定に対する取消訴訟を提起した。
  脱原発が喫緊の課題であることは、当然であるが、気候変動対策を怠ることは、持続可能な社会を遠のかせ、ひいては取り返しのつかない事態を招くこととなる。シロクマ弁護団の中からは、本年2月にソロモン諸島への視察を行い、既に始まっている気候変動の被害を目の当たりにし、その危機感を現実のものとして持ち帰っている。今後は、環太平洋の島嶼国の人々や環境NGOとの連携を強めながら、気候的正義の実現へ向けたユニークな行動を展開していく。

 

3 生物多様性に関する問題


1) 生物の多様性は持続社会にとって不可欠な要素である。産業革命後の200年あまりで、おびただしい数の野生種の絶滅が進行した。1975年以降の種の絶滅速度は年間4万種との推定もある。
 島国でありかつ森林面積の国土の約7割を占める日本は、先進国の中では群を抜いて生物多様性に恵まれているが、、同時に深刻な危機に瀕している。2005年2月には、コンサベーション・インターナショナルが、日本列島全域を生物多様性ホットスポットに特定しており、日本は、いわば世界的にも生物多様性重要地域である。

2) 我が国の生物の多様性減少の大きな要因として、公共工事など人間活動による自然破壊があげられる。開発行政に対する民主的統制の欠如が早急に是正されなければならない。泡瀬干潟訴訟、よみがえれ有明訴訟によって公共工事の民主的統制が生物多様性保全に不可欠な関係にあることが明らかにされたといえる。

3) JELFは、生物多様性を保全、回復するために次の政策を実現するために活動する。
  @ 各地で展開されている公共工事に関する訴訟を引き続き支援する。とりわけ、行政訴訟における原告適格・処分性の拡大、裁量統制に関する判例の前進を勝ち取ることが重要な課題である。
  A 近時頻発している、開発推進側によるいやがらせ訴訟に対する、対抗運動を展開する。
  B 生物多様性国家同戦略を担保する法的統制、生物多様性保護政策に対する市民参加のシステム、環境アセスの実効性の確保をめざして政策提起を行う。

4) なお、生物多様性に関し、2012年には、以下の重要な国際会議が開催予定である。JELFでは、可能な限り、国際連帯を深める。

 @ 生物多様性条約第11回締約国会議(COP11) 10月8日〜19日  インドのハイデラバード

 A ラムサール条約第11回締約国会議(COP11) 7月6日〜13日(金)  ルーマニアの首都ブカレスト

 

4 日米地位協定などアメリカの軍事基地と環境問題

1) 情勢と課題
  「世界一危険な基地」である沖縄普天間基地の返還は、1996年にSACO合意によって約束されたにもかかわらず、未だ実現されていない。民主党は、沖縄ビジョン(2008年)において県外移設を公約に掲げて選挙戦をたたかったにも拘らず、政権につくや、迷走のあげくに、2010年5月28日に日米共同声明を発表し、普天間基地返還を代替施設提供を条件とし、その代替施設は沖縄県名護市辺野古沿岸部とすることを確認した。その後、2011年6月21日には、日米安全保障協議委員会(2プラス2)において、代替施設は、埋め立て工法によるV字形滑走路と決定するなどしている。
 また、代替施設地とされている辺野古沿岸部においては、新基地建設のための環境影響評価が行われ、その評価書が2012年12月28日午前4時に県庁舎に強行的に運び込まれた。しかし、その内容は、沖縄県及び同知事意見書が600件余の問題点を指摘しているように、環境アセスの名に値しないものであって、むしろ、辺野古沿岸部での基地建設が重大な自然環境破壊をもたらしかねないことを示している。
  爆音をまき散らし、周辺住民の人権侵害を今も続けている普天間基地は、即時に閉鎖撤去すべきである。このことは、2012年2月12日の宜野湾市長選挙などをみても、いまや沖縄の総意として形成されつつある。
  しかし、この普天間基地の機能を辺野古地区へ移設したとしても、普天間基地の人権侵害状態を辺野古地区へ移転することになるだけであり、何らの問題解決にはつながらない。しかも、まともな環境アセスも行わずに辺野古沿岸部に新基地建設が強行されれば、ジュゴンをはじめとする貴重な自然環境も破壊されることは明白である。
 そもそも、普天間基地もしくは辺野古沿岸部新基地における米軍駐留には、全く必然性は存しない。また、米軍再編のロードマップについての在沖米海兵隊のグアム移転と嘉手納基地以南5施設・区域の返還を普天間問題と切り離して先行させると方針変更は、普天間基地移転と辺野古沿岸部新基地建設も固定的でなく見直しが可能であることを示している。
 以上からすれば、普天間基地は即時閉鎖・撤去するとともに、辺野古沿岸部にも国内のどこにも「代替施設」となる新基地を建設させるべきではない。
 そのために、JELFは、日米安保条約・日米地位協定に実効性のある環境条項を盛り込み、環境面における対等な日米関係を実現することで普天間基地における人権侵害状態を解消し、辺野古沿岸部への新基地建設を阻止することを引き続き取り組んでいく。

2) 2011年度の活動
@ JELFは2011年度次のような活動方針を掲げていた。
  ア 対等な日米関係実現のために、日米安保条約・日米地位協定をどのように改訂すべきかなどについては、引き続き研究活動を行っていく。
  イ 出発点である現在の普天間基地周辺の被害、辺野古沿岸部で予想される環境破壊などについて、広く国内外にアピールする運動に参与し、上記の対等な日米関係実現、環境条項の設定などに役立てていく。
A 2011年度活動は次のようなものであった。
  ア 普天間訴訟団・弁護団と連携し、講演会活動など普天間基地における被害実態を広くアピールし、知らしめていく運動に参加した。
  イ 2012年1月の沖縄米軍基地問題をワシントンなどで訴える訪米行動の支援を行った。
  ウ ワシントンポスト紙への意見広告などを行うNGOグループであるJUCOネットと連携し、アメリカ国内での運動の可能性を協議した。

3) 2012年活動方針
  @ 普天間基地の被害実態、辺野古における自然環境破壊の可能性、さらには県内移設を許さないために嘉手納基地の被害実態などを広く訴える運動に参加していく。特に日本政府及び国会、米国政府及び同議会への圧力を強めるような行動につなげていく。
  A 対等な日米関係実現のための、日米安保条約・日米地位協定の改定問題については、引き続き内外の協力を得て、研究を進める。

 

第3 法曹養成について
 

1 はじめに
 2006年に新司法試験が始まり,その選択科目として環境法が採用されてから6年が経った。その間,環境法を専門的に学ぶ法科大学院生,さらに環境法を選択科目として選んで新司法試験に合格した弁護士が着実に増えつつある。 しかし,一方で,環境法が新しい分野であるために,法科大学院によっては教師や学習教材,授業数が不足し,学習支援体制が不十分である等,法科大学院間で格差が生じという問題がある。このため,法科大学院によっては,学習支援体制の不足や勉強方法に関する情報の不足から,環境法自体には興味がありながら選択科目にはあえて選ばない学生が出てしまうケースも生じている。このような状況もあって,司法試験選択科目の中で,環境法の選択者及び合格者数は下から2,3番目の位置にあり続けており,司法試験受験者全体の割合から考えれば,環境法を学ぶ学生の数は伸び悩んでいる。このため,どの法科大学院にもいきわたる形での環境法の教育・学習支援体制の整備と充実が課題となっている。
 そこで,JELFでは,環境法に興味をもつ学生が,専門的に環境法を学び,また試験に合格した後も引き続き環境法の問題に専門的に取り組めるようにするための支援を行ってきている。特に最近の取り組みとしては,2008年度より論点表作成会議を発足して,学習支援のための論点表作成の取り組み等を行ったり,2010年度からは環境法の勉強会を行ったり,日弁連主催の環境法サマースクールの際に懇親会を開催したりして,環境法に興味を持つ学生,修習生,若手弁護士の交流も図っている。

 

2 2011年度の活動総括


1) 2011年度活動目標
 
2011年度は,2010年度に引き続き,環境法勉強会を行い,司法試験の受験の間近な法科大学院卒業生からまだ入学したばかりでこれから環境法を勉強する法科大学院生まで,幅広く環境法の学習支援を行うことを目標とした。


2) 2011年度活動実績
  2011年度の活動では,環境問題に興味のある修習生と弁護士らが参加して,環境法の学習支援を行いつつ,環境法に興味のある人の輪を広げるために,環境法勉強会を開催した。場所は東京と大阪で,大阪では3月6日に行った。東京では3月13日に行う予定だったが,震災のため中止し,代わりに7月2日に行った。大阪の勉強会では33人が集まった。また,東京も中止がなければ50名を超える人数が集まる予定で,代わりに行った7月の勉強会でも27名の人が集まった。
 秋には,東京,大阪,名古屋,福岡の4か所で,合格者向けの勉強会も行い,こちらも盛況だった。
  ただ,2010年度と異なり,環境事件の現地へ行く等の修習生向けの企画があまりできなかったのは残念だった。

 

3 2012年活動方針

1) 2012年度は,2011年度までに実施した環境法勉強会の結果を踏まえ,改めて環境法の勉強会を実施するとともに,環境法の勉強支援のため,最近の法改正の状況も踏まえて,論点表の改訂を行う予定である。
 すでに3月17日に東京・大阪で勉強会を開催し,東京では79名,大阪では34名の人が集まった。また,論点表についても,現在までに改定の作業は進んでおり,今年の夏ごろを目途に改定版を発行する予定である。そして,8月24日・25日に東京で日弁連が主催する環境法サマースクールが開催されるのに合わせて懇親会を今年も開催する予定である。

2) また,これまでの取り組みに参加してもらっている人も数多くなっていることを踏まえて,学生の環境法学習の支援とともに,参加してもらった弁護士や修習生の人達の環境問題に関する自主的な取り組みの支援など,今後どのようなことをやっていくかについて,改めて検討をしていきたい。

 

第4 JELFの組織・財政について

1 JELFは、環境問題に取り組む法律家によって構成するNGOというユニークな存在である。2012年4月現在、会員は弁護士会員548名、修習生会員33名、賛助会員77名である。
  JELFの組織活動としては、年1回の理事会、月1回の事務局会議(名古屋)を通じて、@時々の環境問題に関する意見表明、A「環境と正義」の発効を中心とした環境運動、訴訟など情報交換、Bロースクール生、修習生など次世代の環境問題に取り組む法律家を養成する活動に取り組んでいる。

2 2011年度総会において、JELFは、大阪事務所の活動のために安定的な財源を確立する必要があることから、会費の値上げについて検討することとした。そして2012年1月理事会において、2012年度から会費を1万2000円に増額することを決定した。
  そして、さらなる経費削減に努力するとともに、2011年度に入って停滞している大阪事務所の活動の活性化、弁護士会員の拡大に努めることが確認された。

3 2012年に入って以降、大阪事務所では事務局会議が定例的に開催されるとともに、支部総会を開催するなどの取り組みが行われ、近畿地方におけるJELFの結集の場としての機能を発揮しつつある。また、法曹養成の課題においても修習生対策の実務を分担するなどの活動範囲を拡大している。

4 2012年度においては、各地の環境訴訟や弁護士会の公害環境委員会などで活動している弁護士の中に相当数のJELF非会員がいることを直視し、弁護士の中での会員拡大を重視して取り組む。
また、事務局会議の定例開催に引き続き努力するとともに、大阪事務所の活動が軌道にのるように援助する。

5 JELFは団体として、ジュゴン訴訟とシロクマ公害調停に当事者として参加している。
  今年度も、上記事件に取り組むとともに、今後も必要な事件については、理事会の承認を得て当事者として参加することとする。


 


最終更新日 : 2015 819