「ストップ・リニア! 訴訟」は2016年5月20日、沿線1都6県の住民を中心とする738名が東京地裁に提訴した裁判です。この裁判で求めているのは、国土交通大臣が行ったリニア中央新幹線工事の認可処分の取消を求める裁判です。この訴訟では、国土交通大臣の認可処分が全国新幹線鉄道整備法、鉄道事業法、環境影響評価法に違反するということを主張しています。
- リニア計画自体の問題点
- リニアの問題点は、まず何よりも安全性にあります。
超伝導磁気浮上方式(要は地上10cm浮き上がって)で時速500㎞で走行するという技術が本当に確立しているのか。リニア新幹線は全体の約85%がトンネルを走行する予定です。地下40m以深の大深度地下や南アルプス直下に掘られたトンネルを進行中に火事や地震に見舞われたときに迅速な避難が可能なのか。このような問題が正面から検討されているとはいえません。 - 採算性についても不安があります。
日本全体が人口減を迎える中で、東京〜名古屋間の需要予測が楽観的です。航空機利用者からの需要移動、東海道新幹線からの需要移動も過大に評価されているといわざるを得ないもので、JR東海の幹部も「絶対にペイしない」と発言しています。JR東海の経営を傾かせ、地域住民の足に影響を及ぼしたり、公的資金の投入を招くおそれは否定しきれません。 - 裁判においては、このようなリニア計画の安全性、採算性の問題を鉄道事業法5条1項各号に違反することを主張しています。
- リニアの問題点は、まず何よりも安全性にあります。
- 環境への影響
- 環境への影響も甚大です。
豊かな自然環境を誇る南アルプスに長大なトンネルを作ること、大井川の水源を傷つけること、発生する膨大な残土の処分の見通しが明らかでなく、工事車両の通行は周辺地域に大きな影響を与えます。電磁波などの健康影響も心配されます。
岐阜県東濃地方には国内で有数のウラン鉱床があります。リニアはウラン鉱床の近くを通ることが計画されており、ウラン鉱床を掘削するようなことになれば放射性物質が飛散することになります。愛知県春日井市など沿線上には亜炭鉱跡が点在しており、トンネル工事によって陥没事故が発生しないかという心配もあります。
ところが、リニア新幹線に関する環境影響評価では、住民からよせられた様々な意見に向き合わないまま、工事を進めようとしています。 - このような点について、環境影響評価法違反として主張しています。
- 環境への影響も甚大です。
- 「ストップ・リニア! 訴訟」は2016年9月23日に第1回口頭弁論を開催し、今後2カ月に1度のペースで口頭弁論を開催していく見通しです。JR東海も被告側に訴訟参加しており、JR東海からもリニア事業について主張が行われるものと思われます。
今世紀最大ともいわれる巨大事業は環境にも大きな影響を与えるものです。環境を守るためにも、重要な裁判です。